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17世紀の産業革命にも匹敵すると言われている2000年代初頭の「IT革命」は、人々の生 活を大きく変えた。

ITによってもたらされた効率化と技術革新によって、消費者が安価に商品を入手できるようになったと同時に、多くの雇用が一気に消失したことも事実だ。

本来、人の生活を便利に、豊かにするはずだったITや技術革新は、多くの人の仕事を奪ってしまう「技術革新と雇用削減のジレンマ」を生んだ。これは産業革命の時代でも起きていたことで、ある意味健全な時代の進歩と言えるだろう。なぜなら、また新しい技術や産業が生まれ、その消失分を回収するようにできているからだ。

日本の深刻なIT技術者不足

しかし、今日本はIT技術者不足に悩まされている。人類の生活をより便利にしながらも、多くの仕事を奪ったIT業界が人手不足とは何とも皮肉な話だ。若者がITエンジニアを目指さなくなっているのか?
それとも、多くのデバイスの誕生や発達、IoTの急速な発展などから供給不足の状態に陥っているのか?

日本の人口構成をみても、働き手の数が減っているのは明らかで、理系離れも一因と言えるだろう。また、新3K職場と言われた通り、IT技術者の労働環境は決して良いとは言えない。一方で需要も拡大している。

ITが担う分野は拡張し、家電、衣服、メガネ、時計などがインターネットと繋がり始めた。つまり、需要に対して供給が追いついていないのだ。

ではどうすればよいのか。

その一つの解が、海外の労働力の活用だ。この記事にたどり着いた方であれば、オフショアやラボ、クラウドソーシングといった言葉は聞いたことがあるだろう。

これまでコストメリットを生かし、世界の工場となっていたのは中国だ。しかし、近年の人件費の高騰や政治リスクから、徐々に他の国へと移行しているのも事実。その一つの選択肢として注目を集めているのがベトナムだ。

今回は、ベトナムが日本のIT技術者不足の解決策となり得るポイントについてご紹介しよう。

コストが安い

ベトナムの人件費は安い。もちろん経済成長に伴い今後上昇するだろうが、それはどの国も同じだ。

現時点では周辺国に比べてもコストメリットを享受できると言える。東南アジアの中で4番目に単価が安く、エンジニア単価は中国の半額程度、日本の1/3 ~ 1/4だ。

また、勤勉で日本人との仕事の相性も良い。IT技術者になる層であれば大学卒業者がほとんどで、英語も理解できる。そういった管理やコミュニケーションにかかるコストを比較的抑えられる点もメリットだ。

エンジニアのレベルが高い

これまで海外人材の活用は、単にコストメリットが注視されていたが、これからは質の時代だ。先ほど東南アジアで4番目の単価だとお伝えしたが、安かろうで選定すれば他にも安い国はある。しかし、なぜ多くの企業がベトナムを選び始めているのか。その質とのバランスを鑑みながら判断が必要だということに気がつき始めたからだ。

一般的にはベトナム人は職人気質で器用と言われることも多い。 実際に、穏やかな性格や指示に対して忠実な姿勢などは日本人との相性も良い。教育熱心でもあり、社会人エンジニアの3-4割はお金を出して外部のエンジニアスクールに通うくらいだ。さらに、親日国として有名なベトナムでは、日系企業や日本の案件に携われることが一種のステータスになるため、より優秀な層が日本との関わりを希望するのだ。

一方で注意も必要

これまでは良い点ばかり挙げてきたが、もちろん課題も存在する。
よく言われるのは、品質に関する意識の低さだ。これにより、システム開発では様々な問題が発生していく。例えば、プロジェクトの全体像の把握や仕様に対する理解不足、テスト不足などが挙げられる。この問題に関しては別途記事を書いているのでそちらを確認いただきたい。

まとめ

私たちの想像以上にベトナムのIT設備は整っており、人材も優秀になってきています。遠隔コミュニケーションツールも増え、アジャイル開発やプロトタイピングといった開発プロセスも出てきており、以前に比べてオフショア開発は成功率が高くなった。
ベトナムは日本のIT技術者不足の解決策となるのか。まだまだ課題は山積みだが、確実にその波は大きくなってきている。

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