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現在日本に留学しているベトナム人の数を知っていますか?

答えは、6万人。

つまり、年間数万人が留学を終えてベトナムに帰国するとも言えます。

日本に留学し帰国した後は日系会社で日本語を使った仕事を希望するのは自然な流れでしょう。

そして技能実習生として10万人近くが働いています。同じく、毎年数万人が帰国し日本語を使った仕事を希望しています。

このように、労働市場においては日本語学習者の数は年々増えており、日本語が話せるだけではバリューが出しづらい状況とも言えます。

そのような日本語の希少性が薄れていく中で採用する側が判断すべき領域は、日本語能力に留まりません。

もし特定のスキルを求める職種でないのであれば、見極めたいのは成長ポテンシャルでしょう。

そこで、今回は、年間1000名近くの日本語人材を面談する立場から、日本語チェックで成長ポテンシャルを判断する4つのポイントについてご紹介していきます。

基本的な考え方について

大切なのは、現時点での日本語能力のみならず、そこまでの過程も含めて判断するということです。つまり「点の評価」から「線の評価」への移行です。

それによって、その人物の成長ポテンシャルを正しく判断でき、長期的視点に立った際に誰が優秀なのかを見極めることが可能となります。

具体的な4つのポイントをみていきましょう。
1.どのような学校で日本語を学んできたのか
2.学校以外で日本語学習に時間を割いていたか
3.どのくらいの期間学んだのか
4.脳内に文法のフレームワークは入っているか
5.漢字は書けるか

1つずつ詳しくみていきましょう。

1.どのような学校で日本語を学んできたのか

ベトナムの日本語学習者の学習先は主に4つに分かれ、学習した環境によって伸びる能力も異なります。

A.ベトナムの日本語学校(0-3年間程度)
-会話に強いのか、文法に強いのかなど学校によって特徴がある

B.ベトナムの大学の日本語学部(4年間)
-卒業までにN2は合格していれば、日本語学習意欲の高い学生と判断
-逆に資格も取っていないとなると、いくら上手でも慎重な判断が必要(目標設定と遂行力が乏しい?)

C.日本の日本語学校(1.5-2年)
-最近では高校卒業してすぐに日本に行くパターンも増えている(ベトナムの大学に行かない)
-その場合は、日本語は上手くても少々子供っぽいところが残る(日本の中高生くらいな印象)
-ゆえに、ビジネスにおいてその点を許容出来るかは判断が必要

D.日本で就労しながら日本語も学ぶ実習生(3年間)
-3年間でN1-2を取得して帰国する人は日本語学習意欲の高い人物と判断(機会を活かす力)
-逆にN3も取得せずに帰国の場合は、日本語学習意欲が低い人物と判断

学習した環境をおさえることで、ある程度基準となる軸ができます。その軸と現在の日本語スキルを比較することで差異が見え、プラスにもマイナスにもその人物の特徴が把握しやすくなります。

2.学校以外で日本語学習に時間を割いていたか

どの環境で学んだかに関係なく、教室以外でどれくらい日本語学習に時間を割いたのかは重要です。例えば、日本語会話クラブ等は毎週のように開催されており、やはりそのような場所に顔を出す人物と、教室の中でのみ完結している人物では学習意欲が異なります。

これは受け身ではなく能動的な行動になりますので、仕事において新しい知識を吸収しなけければならない際にも、「会社が教えてくれる」という受動的なスタイルではなく、自ら学びにいく姿勢が期待できます。

お金を払ってセンターで日本語を勉強するという行動も能動的ではあるのですが、ここベトナムにおいては手段が目的化しているケースが多々あり、この点だけでは能動的な行動ができる人物と判断するのはまだ早いでしょう。

3.どのくらいの期間学んだのか

この点はどこで日本語を学んだかにもよって判断は異なります。

例えば、日本の日本語学校で2年間勉強した人物と、ベトナムの日本語学校で2年間勉強した人物では、前者の方が日本語力が向上しやすい環境にいるはずです。

日本人でも、アメリカに留学してもアルバイトばかりだったり日本人コミュニティにばかりいることで英語力が伸びない人は沢山いるかと思いますが、それと同じです。

4.脳内に文法のフレームワークは入っているか

脳内にきちんとフレームワークがあり、それに基づいて話しているのか、それとも話すテンポは早いが口先だけで話しているのか。

日常会話しかしない友達という関係性なら良いですが、ビジネスの現場において日本語を使うのであれば話しに論理性は必須ですから、文法のフレームワークにそった会話は求められます。

どうしても、話すテンポが早いと優秀に見えしまいます。一方多少脳内でフレームワークに当てはめて口に出すのにまだ時間がかかる人に対しては、能力が劣る印象を受けてしまいます。

しかし、脳内にフレームワークがあり、それに当てはめようと努力している人物は、その後の伸びで差が出ます。この点は評価者側が短期視点のみならず長期視点を持ちながら判断が必要です。

5.漢字は書けるか

実務上漢字の読み書きが求められる場合は漢字チェックは必須です。これも学習した環境によって学習状況に差が出ます。例えば、実習生として日本語を学んだ人物の場合は会話は上手でも漢字は弱かったりします。

「話せりゃいーじゃん」というのも一理あるのですが、最低限の漢字を学ぶ態度は、ビジネスの場において日本語を使う人にとっては必須です。

日本人も、英語の発音を気にせずに伝われば良いという考え方の人もいますが、一定レベル以上のビジネスの現場においては日本人訛りから脱却する必要があると思いますが、それと同じです。

まとめ

日本語チェックで成長ポテンシャルを判断する4つのポイントについてご紹介しました。 繰り返しになりますが、大切なのは、現時点での日本語能力のみならず、 そこまでの過程も含めて判断するということです。つまり「点の評価」から「線の評価」への移行です。

ぜひ参考にしてくださいね。

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